卒業とヘッドスカーフ、そして紙袋

20/07/2016 § 8件のコメント

今年いちばんの暑さが、イギリスにやってきた昨日。

No2こと、息子の大学の卒業式がありました。

IMG_6008

卒業は叶わないだろう、と思っていた時期が、今まで何度もあったので、私とオットには、とりわけ感慨深く。

ここに来るまで、学業という面では、あちらこちらへ寄り道し、いつまでも、成長せず、私には理解不能の息子と、同じ家の中で空気を吸うことすら耐えられず、自身が家出したりしたこともありました。もう、息子ではなく、扶養義務のある単なる知り合いと思おう、もう見限ろうと思ったものの、日本の母に、親が子供を見限ることだけはしてはいけない、と諭され、なんとか凌いだ日々もありました。

今回の卒業も、最後の試験が終わっても、卒業式の連絡も報告も、彼から全くなく、学校のサイトで、卒業式を調べたところ、招待客のチケットは、売り切れ、と出ていて、それを見て、きっと卒業できないのだ、と私は、信じ込み、半日泣いたのでありました。翌日、卒業式の日程を彼から言われて、泣き笑いしたのでありましたが。

とりあえず、親としての義務は果たしたかな?

これからは一人で生きていけるよう、仕事を見つけて、1日も早く自立してください。

お願いします。

式自体は、最小限のスピーチだけで、一人ひとり壇上に呼ばれ、卒業証書を受け取るのですが、一礼とか、両手で証書を受け取るとか、全くなくて、呼ばれて、代表と握手。そのまま歩きつづけて証書を片手で、ひょいと受け取り、そのまま、階段を降りて、着席。 式自体は、全体で1時間半ほど。

式は、学部ごとに日にちと時間をずらして、小分けにして、行われておりました。

長女の大学は、大規模な式で、時間も長く、場所もあちこち移動しなくてはならず、大変だった思いがありましたが、今回は、ほとんど建物の中で、33度にもなった気温を考えると、ラッキーでありました。

ガウンや帽子は、レンタル、写真を撮ってくれるサービスも学内の会場そばにあり、システマチックに運営です。

学位やレベルによって、ガウンの色や、帽子の形などが違っており、上の学位になるほど、カラフルになっていくのはわかりやすいですね。

そして、この卒業式の会場で、とても残念だったことがありました。

式の会場は事前座席指定で、指定された場所に着席した私たち。人種の坩堝のこの国にふさわしく、様々な人々に囲まれておりました。

私たちの左側は、白人女性。前は見事な黄色いサリーを着た奥様とご主人のインド系の方、斜め前は、中国系とみられる3人組、右隣は、頭にスカーフを巻いた20代前半のお金持ちと思われる女性二人組。

式が始まって、すぐ、真後ろに座った中近東系の中年男性の携帯から、音がしました。あらあら、仕事のメールでも届いちゃったのかしら?と思っていたのもつかの間、それからも何度もなんども、音がします。これ見よがしに、オットと音がするたび振り向いて、ジロッと見ても、どこ吹く風。そのうち気づきました、たまに、人工的に作られた拍手の音やワーという、人工的な声なども何度も聞こえてくること。

音を切らずに、携帯のゲームをずっとやっているのです。

いつも穏やかなオットさんが、珍しく「音を切ってもらえますか?」

しばらくは音を切ってくれましたが、ほとぼりが冷めるとまた音を上げてゲームをし始めたのでした。ゲームしたいなら、外でやればいいのにな。人の話も聞かず、拍手もせず、なぜ、ここにいるのでしょう?

そして、右隣のヘッドスカーフの若い女性。

膝に置いていた、プログラムとチケットが彼女の膝から滑り落ち、私の足の上に落ちました。すぐに拾おうとしないので、私がかがんで、拾って手渡すと、チラッとこちらを見て、表情を一切変えず、全くの無言。

はぁ???

5秒ほどして、気づきました。意図的に無視された?私? この国では、こういうことがあると、ニコッと、ありがとね、というのが、当たり前なので、何が起きたのか、理解するのに、時間がかかる私。明らかに、私は、無視されたのでありました。

式も滞りなく終わり、退場する直前になって、右の女性のその隣のやはりスカーフの連れが、バッグを開けた時、コインを15枚ほど、床にばらまいてしまいました。

その前のこともあったので、私は、あえて無視。そのまま傍観していたら、なんとその、二人組、小銭を拾うこともせず、そのまま、コインは其処におおっぴらに、ばらまかれたまま。その二人は何もなかったのように、退場していきました。

一円を笑うものは、一円に泣くのだぞ。

式の後、一人で、ずっと心の中が、もやもやしていた私、帰る途中、立ち寄った、レストランで、オットと息子に、この無視された&コイン事件を話しました。

で、聞いてみました。

「ねえ、もし、私が、白人だったら、無視したと思う?」

「そりゃ、絶対しないよ」

と、頭にくることに、即座に、はっきり、二人とも、声をそろえて言ったのでした。

世界で、人種や、宗教の違いで、起こる諍いが続いています。ねえ、仲良くしませんか?こんなことでも、2時間以上、人の心はモヤモヤしてしまうのだよ。こういうのもっと大きなことが、積み重なって、大きな諍いになるのにな。

しばらくは、スカーフをした、若い女性を見ると身構えてしまいそうな自分がいます。いやだなあ。

でもね、とってもうれしいこともあったんですよ。

私が卒業式前日、何着て行こうかな〜?とワードローブの前で、悩んでいたら、No3こと末娘が、

「はい、これ」

と持ってきてくれた紙袋。

私が、一緒にセールに行った時、欲しかったけれど、予算オーバーだったし、私なんて誰も見ていないから、新しい服はいらないわ、と買うのをやめた、白いトップが入っていました。

息子は、もう卒業できないに違いないと、部屋にこもって泣いていた私を、彼女は見ていました。元気出して、と慰められるダメ母。ママ、卒業式に出られるなら、これを着るべきだと思ったの、と、決して高くない時給で、2箇所アルバイトを掛け持ちして稼いだお金で、私のためにわざわざ買いに行ってくれて、プレゼントしてくれたのでした。

うえ〜ん。

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大事にします。ありがとね。

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§卒業とヘッドスカーフ、そして紙袋」への8件のフィードバック

  • まいま より:

    嫌なお話もあったけど・・ばくさん幸せ。。
    娘さんからのプレゼントと無事卒業してくれた息子さんとに囲まれて。。

    我が家の例の息子は・・当然卒業せず。。
    家を追い出されて・・一人でアパート住まいしてますが・・
    とりあえず・・バイトとは言え頑張って生活のため稼いでおります。。
    自分で自分を養っていることに拍手。。と・・
    褒めちぎっておきました。。

    • ばく より:

      親は子供がいくつになっても、死ぬまで縁が切れないし、責任もなくならないのですよねえ。。普通に、元気で、人とやっていかれる事が出来れば、上等!と思うようにしています。自分で自分を養える。素晴らしいです。愚息、ただいま、ギリシャで楽しくやっております。はあ。。

  • ウィリーMom より:

    No2君、卒業おめでとう。結果オーライですね。親は子供の事で死ぬまで悩んだり心配したりしなくちゃいけないようですね。私も最近息子の事でちょっとした事があって毎晩涙が止まらなくて・・。3人も子供が居たら心配も3倍なんて損すぎる!とつくづく思ってました。
    でもNo3ちゃん、本当に優しい、ちゃんとママを見てますね。
    喜びも3倍、心配も3倍ですネ。

    • ばく より:

      本当にここまで来るのに、長い道のりでした。死ぬまで、のお付き合い。はあ、覚悟しないとです。mom,さん、大丈夫?涙が止まらないなんて。。でも、平和に見える家族でもそれぞれに皆色々抱えていますよね。いいことがあれば、悪いこともある。当たり前なのですが、だから人生面白い。と思うようにしています。

  • いなひこ より:

    ご卒業おめでとうございます。
    いやぁ~卒業出来ないかもと心配しての涙 分かります。
    長男がまさかの留年 本当に落ち込んで外に出られなくなりました。
    普段 立ち直りの速い私が中々立ち直ることが出来なかった。
    無事に卒業出来て本当に良かったですね。ご苦労様でした。

    日本人て人種差別に縁遠いから みんな同じ人間じゃんって思うけど、
    こんな あからさまな嫌がらせ あるんだね~~。
    でも この人たちは品位が無い。ばくさんの行為は素敵ですよ。

    ね だから~~こんな優しい素晴らしいお嬢さんに育てられたんですよ。
    最高のご褒美です。 私も嬉しいです。

    • ばく より:

      いなさん、なぜかお返事が飛んでしまっていて、本当に、申し訳ありません。そして、こんなに長い間それにも気づかず、、ごめんなさい。
      いなさんにも、そういう時代があったのですね。うちも、何度もこういう目にあったので、卒業できなくてもちっとも驚かないと思いつつ、やはり、と思うと、心底、がっかりで。。。でも、本当に卒業できてほっとしました。卒業してしばらく経つのに、就職活動をしている節もなく、またまたイライラが募っております。はぁ〜。
      娘からの洋服も、嬉しかったです。ああ、幸せ者だと。泣いて笑って、家族です。

  • 小夏 より:

    No.2ちゃん、卒業おめでとう!
    産まれた時から知ってるこちらも感慨深い…お疲れ様。
    母とはホントに偉大😢
    そしてNo.3ちゃん、泣かせるね😭
    母の頑張りをちゃんと見ててくれる人がいる…うれしいね。
    似合うよ〜!顔見えないけど(笑)

    • ばく より:

      ありがとう、やっと、やっと卒業しました。長かったです。親というのは、子供がいくつになっても卒業できないみたいです。No3ともケンカしますが、女の子の方がまだ、理解可能です、、、

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