人生の第三楽章

07/10/2015 § 16件のコメント

怒涛の9月が終わりました。

単身引越し3回(日本から留学してきた友人のお嬢さん、No3こと末娘、No2こと息子)を、イギリス各地に大量の荷物と共に、車に詰め込んで、送って行き、ホテル泊、その合間に、オットと、遅い犬連れ3泊の夏休み、シンガポールから古い友人がやってきたり、などなど。

ドタバタとあちこち移動、宿泊して歩いた期間中、私は風邪からきたアレルギーの発作が出て、微熱に咳、頭痛と体調最悪でありまして。

この3週間で、我が家の車で、イギリス国内、東に、北に、そして南へと、走り回った距離、約1500キロ。ゴホゴホ(咳)

9月中、8月にまけないほどの、好天に恵まれ、「奇跡のような」爽やかな秋晴れで、文句のつけようのない日々を、あちこちへ移動して歩いて、すべてを終えて、私の人生の第2楽章が終わりました。

ついに、子供達3人とも、旅立ちました。

まだ、大学生が二人なので、休みのたびに戻ってはくるのですが、基本は夫婦二人。元の形に戻ったのですね。

人生の第三楽章です。

結婚した時、思いの外、自分の中で大きく変わる部分はありませんでした。

でも、出産は、それはそれは、大きく違いましたねぇ。

それこそ、待ったなしの日々の格闘が、自覚も覚悟も、心の準備はしていたはずですが、そんな準備など、吹き飛ぶほど激しく、始まりました。赤ん坊は、1日24時間、1週間7日、年間365日、ずーっとこちらの都合、お構いなく、泣くわ喚くは、お腹を減らし、かえてもかえても、おしめを汚し、所構わず飲んだばかりの母乳を吐き、時間も曜日も無視して、発熱に下痢。

出産後、退院して、自宅に戻って、ほとんど眠れない状況が続く中、うとうとしていると、あかんぼの鳴き声がして、意識が戻っていく中で「どうして赤ん坊の泣き声がするのだろう」と思っている自分。

ふと、気付きました。あ、私が産んだんだった。

それまで、自分は、一人で立派に大きくなったと疑いもしなかったけど、自分もこうして育ててもらったんだ、と金槌で頭を殴られたような気がしたものでした。

それから、26年。

長かった。。。でも、短かったかも?、いやいや、やはり長かったな。

好むと好まざるに関わらず、子供を中心に、すべてを考えなければ、生活が回らないため、自分の事はさておいて、暮らしてきました。自分がしたいことより、子供のお世話、自分が着たいものより、子供に汚されてもいい動きやすい服、自分が行きたい所より子供が楽しい場所、自分が読んでいる本や、見ているテレビは、どんなにいいところでも中断して、ご飯の支度、お風呂に入っても、子供達を洗って、出て、歯を磨いて、寝かしつけて、ふと気づくと自分は裸で、バスローブのまま、子供と一緒にくたびれ果てて寝てしまい、しばらくして、寒くなって目が覚めて。よく考えたら、自分はお風呂で、どこも洗っていないし。。

何をしても、どうなだめても、泣き止まない赤んぼを、夜中3時におんぶして、家の廊下を行ったりきたり、それでも泣き止まず、仕事で、あと数時間で、出勤しないといけないのに、泣きたいのはこっちだ。これ以上、泣いたら、このベランダから落としてやる、と11階に住んでいてた当時、追い詰められ真剣に思った自分。

フルタイムで働いていた、会社のデスクから、宅配ピザをオーダーし、地下鉄に飛び乗り、降りた最寄りの駅から全速力で自転車を飛ばして、走って家に帰る途中、頭の中で帰宅後の、食事や洗濯の算段をしながら、必死で自転車のペダルを踏んで、ふと正面に見える高層ビル群の明かりを見ていたら、そのまま何もかも、全て投げ捨てて、どこかへ逃げたくなった、あの時。

学校の宿題は、ファックスで会社に送ってもらい、電話で子供とやりとりしましたね。

夜から熱が出てしまった息子に熱さましを飲まして、とりあえず保育園に連れて行き、同時に、実家の母にお迎えを頼んで、なんとか乗り切った日々のこと。

子供たちの教育のために、やっと、10年かかって、たどり着いた会社のポジションや、キャリアを捨てて、友人達に別れを告げて、イギリスへ移住したこと。

イギリスにやってきてからは、初めての専業主婦として、子供の学校の送り迎え、お稽古事の手配に送り迎え、毎日が学校の始まる9時と、終わる3時半で、1日は区切られ、その時間に支配され、困惑だった日々。

日本語保持のため、ロンドン日本語補習校の膨大な宿題をめぐり、子供達と攻防戦を繰り広げた13年。

長女が3歳になって、幼稚園が始まって以降、毎日、6時半に起きて、作り続けたお弁当。

10年間、変え続けたオムツ。

いつか終わるのか? 心穏やかに話せる日が、本当に来るのか?と心が、悲鳴をあげた、子供達のティーンエージャー反抗期。

そうやって、無我夢中で月日を過ごしているうちに、自分のことは、全て後回しにして暮らすことが当たり前になっていました。

家族が全員シャワーが終わっていないので、食洗機と洗濯機はもう少し待とう、とか、今からDVDを見始めると夕飯の支度が遅くなるので、見るのはやめよう、とか、そして、時間を見計らって、今なら、と見始めた映画の途中、ものすごく感情移入しているところで、「すぐ出かけないといけないんだけど、僕の青いシャツがどうしても見当たらない、どこに入れた」などと聞かれ、対応しないといけなくて、興ざめになってしまう、なんていうのは、日常茶飯事。

小さいことの積み重ねでしたが、少しづつ少しづつ、自分が侵食されていっていたのだなあ。

子供たちは自分の部屋があるのに、自分には、自分だけのデスクも、スペースもなくて、主婦だって、泣きたい時もあるのに、家の中に場所もなく、バスルームで鍵をかけてシャワーの下で泣いたこと。

結婚も、仕事も、たいていのことは、「やーめた!もう、やめる」と言い放ち、やめることができるのに、子供は、なかったことにはできないのだと、身にしみて悟って驚いた事。

もちろん、家を出て結婚しても、親子関係は無くなることはありません。

が、子育て、終わりにするぞー。

で、あまりに長い間、自分を二の次にして、意識もせずに色々、辛抱して生きてきたので、ふと気づいたら、自分はどんな人だったのか? 何をしたかったのか? すっかり考えることすら放棄していることに気づきました。

自分を取り戻したい。

やりたいこと、我慢しないで、やってみたい。

わがままだと思われても、死ぬとき、後悔しないように、一歩踏み出したい。

残り時間も確実に減ってきていることですし。

と、いうことで、待ってろよー! 私の人生の第3楽章。

健康第一で、これからも、好奇心を失わず、残りの人生を、自分がまず、そして、可能な部分は、オットと共に、エンジョイしたいと思います。

ブログも、こまめに更新だな(ガンバル)

書くことは大好き、これも、続けていきたいことの一つなのであります。

2015年秋の、私の人生のマイルストーンとしての、決意表明でありました♪

最後に、子供たちが、自分たちの子供時代は、悪くなかった、と思ってくれたら、もう、それ以上望むことはないな。

親として、足りない、不甲斐ない、ダメダメの部分もたくさんあったと思うけど、笑って許してくれたら、うれしいと、そして、自分を育ててくれた両親に、私は子供時代、幸せでした、と次回、会ったら、それとなく伝えたいと思っています。

§人生の第三楽章」への16件のフィードバック

  • NAKAGAWA より:

    バクさん、子育て終了おめでとうー!やっとやっとですね。
    そう、これからですよー。
    自分のやりたい事、楽しい事幾らでも出来ますよ。
    私も気がつくと、家族が少なくなった分拍子抜けするくらい家事が楽になって寮母さんを退職した気分でした。孫ができるまで存分にワンズと楽しんでね!お疲れ様でした。 ワーイワーイ。

    • ばく より:

      お返事遅くなりました。ありがとうございます。本当に,私ったら、寮母でした!その通り、で、退職していいんですね。我が家は孫はまだまだみたいなので、ワンズと第二の青春を謳歌します。ワーイ、ワーイ。

  • まいま より:

    あたし・・夫婦ふたりの生活が2年ほどあり・・
    また・・ただいま家族4人が揃ってしまいました(^^ゞ
    初めは寂しかった夫婦二人。。でも旦那がいない日にU^ェ^Uずを連れて・・遠出を楽しむようになりました。。
    楽しかったな~~。。
    家族が誰かいるというだけで・・帰らなくっちゃという気になるのは・・きっと子育て中の習慣なのかな。。
    もう・・子供達大人なのだから・・親の看板下ろしていいと思うけれど・・なかなかできずにいます。。
    子供は迷惑よね~~。。

    ばくさん・・終了お疲れ様でした。。
    すごく・・気持ちがよく分かる。。
    これからは・・自分の楽しみよね。。
    楽しみましょうねぇ~~♪

    • ばく より:

      まいまさん、子供は迷惑よね〜に、大爆笑。オットも、嫌いじゃないけど、元気で留守がいいなあ。。。そうなんです、帰らなくっちゃとか、ご飯作らなくっちゃとか、誰にも強制されたわけじゃないのに、自分を縛っています。今でも。でも、その殻を取り去る努力をこれからしようと思います。楽しみましょー!

  • 団子三兄弟の母 より:

    バクちゃんと共感できた事沢山ありますね。さぁ〜これから自分中心の生活をエンジョイなんですね。でも夫婦ともに健康である事が大前提なのでしっかり体のメンテナンスおわすれなくよ!(なんか年齢を感じさせるコメントですね)
    我家のN0.1も一度決まっていた大学を急にキャンセルとかして、いろいろありましたが、今月末には新たに決めた大学へロンドンに出発します。病気をしたら、なにか事故にまきこまれたりとか心配はつきないのですが、遠いんでどうしょうもない。今回は主人が出張を兼ね動向してくれますが、次回私が行くような機会がありましたら、そのときはバクちゃんの人生第三楽章お聞かせくださいませ。

    • ばく より:

      子供はねえ、いろいろありますよね。何もなくすんなり、って、見えても、みーんな、なんかあるもんなあ。体のメンテナンスは怠りなきよう、努力します!で、こちらにお越しの際は、是非是非、一声お掛け下さい。お待ちしております。

  • ごまママ より:

    ばくさんの言葉、ひとつひとう、心の底から共感して読みました。
    本当に本当にお疲れ様でした!

    しかし、老婆心ながら申し上げると、人生第三楽章も、真剣勝負で子どもたちと向き合わなくてならない場面がてんこ盛りになるんです。
    ちゃんと、疲れることや、辛いことや、泣きたいことが用意されているんですよ。まったく。

    しかも、第二楽章では、どうのように親の気持ちを子どもに伝え、理解させるかということが親の役目だったのに、
    第三では、どのように自分の気持ちを飲みこみ、子どもを理解するかが親の役目になってきます。
    「や~めた!やめた!親なんてやってられない!」と思うのはこれからですよ~

    でも、そこんとこクリアして本当の親子になっていくんだと
    自分に言い聞かせています。
    まぁ、とりあえず、どっぷりわんことの生活を楽しみましょうね♪

    • ばく より:

      ごまママさん、、エエーーーー第3楽章も、真剣勝負ありですか?終わらないのだなあ。ま、仕方ないけどです。でも、その事態に陥るまで、とりあえず、しばらく能天気に、ワンコといちゃいちゃします。なんかあったら相談乗ってくださいね♪

  • ままみあ より:

    ばくさん、なんだか読ませていただいて泣いてしまいました。ばくさんのご家庭って、、、理想なんですよね、、、 (お会いした事もないのに、、、一人勝手に憧れているわけです、、、)一人の娘に振り回されているわたしはまだまだ甘い、、、

    ばくさんは、お犬様や猫ちゃん含め大きな家族を支えてきたのですものね、、、、 これまで、お疲れさまでした、、、ばくさんのがんばりはお子様に反映されていると思います!

    これからももっと楽しいハプニングがあるんだろうな、、、、ますます楽しみですね!!!これからは自分に重点を置いて、、、とても大切な事ですよね、、、、ばくさん、かっこいいーーー

    ブログ、楽しみにしていますーーー

    • ばく より:

      ままみあさん、理想!!、だなんて、ビックリぽんです。ままみあさんより、大家族は、間違いなかったですが、子供一人だけだから甘いとか、そういう問題じゃないと思います。みんな、言わないけど、家族や、子供や、なんだかんだ、いろいろあると思うんですよん。なーにもない、家族や人はないですよー。ささやかな家族にも人生にも、いろいろですよねえ。ままみあさんも、新しいお仕事、頑張っていて陰ながら応援しています。いつか、お会いしましょうね!

  • いなひこ より:

    ばくさん 子育て卒業 おめでとうございます。
    振り返ると本当によくこんな状態で乗り切ってきたなぁ~って、
    ビックリと同時に自分を褒めたくなるでしょう。
    辛い時ばかりを思い出すときと、楽しかった事ばかりを思い出すと、
    様々ですが、思い出がいっぱいに幸せを感じますよ。

    私だけかもしれないけど・・・。

    自由な時間がいっぱいあり過ぎて、やりたかった事が出来ない。
    何時でも出来ると思うと、中々やる気がでない。

    まずは、のんびりと温かい物でも飲んでゆったりと自分をリセットです。

    そして 新婚さん いらっしゃーい ですね。

    • ばく より:

      いなひこさん、ありがとうございます。そうなんです、楽しかったこと、つらかったこと、折に触れて、ふと、思い出します。自由な時間たくさんあって、やりたかったことができない、何となくわかるような気がします。のんびり自分のリセット!はい!早速いたしたいと思います。新婚さん、いらっしゃーいは、、、、うー、微妙です(笑)

  • ままま より:

    ばくちゃん、子育て終了おめでとう!
    節目節目に思うところあるよね~。
    私は大学の最後の授業料振り込んだ時に終わった。。。って感じたわ(笑)
    子育て終わってもだれも褒めてくれないから自分で褒めるしかないね。
    とは言えやり直せるものならと後悔の部分も多かったり。。
    まだまだ最終楽章ではないけれどとりあえずお疲れさま。
    ばくちゃんの第三楽章がどんな風に奏でられるのか楽しみです♪

    • ばく より:

      まままさん、ありがとうございます。子育て終わっても、誰も褒めてくれない、その通り、でも、今回、ここでこんな風に書いたことで、みんなに、お言葉をこんな風にいただいて、とっても嬉しかったです。いろいろこうすればよかったとか、後悔や、反省もあります。けど、もう、後の祭り!、ということで、気にしないことにしよーっと。大学の授業料、そうですねえ。末っ子、大学7年間でして、、、、、涙、涙です。(遠い目)

  • レイコ より:

    ばくさん、共感するところばかりです。
    9月に2週間だけ日本に行って帰ってからまだほとんど荷解きが出来ていない状況です。ミラノに帰った翌日から働き続け、あっという間に10月末、、、もっと心に余裕を持たないと行けないわと思いつつ、どわーっと毎日が過ぎていきます。

    第3楽章、楽しみですね。
    どんな状況でも乗り越えられる、だから楽しんでいきましょう!
    子育てほど大変なことは無いものね(笑)

    • ばく より:

      レイコさん、みな、髪振り乱して、必死で、子供と向き合ってきたんですよねえ。本当に、大変です。楽はさせてくれません。でも、やらないよりは経験できてよかったかな?と。レイコさんの、日本での、イタリア夫婦アテンドのストーリー、お腹抱えて笑いました。よ〜くわかるし。さぞやお疲れになられたことでしょう。少しほっとして、休みがとれますように。私は仕事、リタイヤしようとおもっています。もういっぱい働いたから、いいかな?って。

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